若い頃は言えなかったな

 ちょっとしたショッピングモールに開店の数分前についた。同じ年ぐらいの夫婦が先に待っていた。

ショッピングモールのドアが開いた途端に、前にいた夫婦のご主人だけがずんずんと歩いて行った。奥さんの方はゆっくりした足取りで歩いてた。

私は去年坐骨神経痛をやっちゃって、しばらくはゆっくり歩いていたが夫は必ず後ろを振り返って私を待ってくれてた。待ってもらうのは申し訳ない、なんとか早く治して夫と共に歩きたい、それがモチベになって、今はほぼ昔と同じぐらいのスピードで歩けるようになっている。もし、夫がずんずん歩いて私を置いていくような人だったら、私は早く治したいとは思わなかったかもなと思った。

お目当ての店についたら、さっきずんずん歩いていた夫の方がカードにかごをのせて立っていた。次々にかごとカートを取っていく人達の横で、妻が来るのを待っている。妻が来るのを店の入り口で待つのなら一緒に歩いてもいい気がするな。そう思いながら横を通り過ぎた。

帰りの車の中で、その話をしたら夫も気が付いてたみたいで、あれは目立ったねと笑っていた。
「仲が悪そうに見えなかったし、あれがあの夫婦の形なのかもしれないね。」
「待たれると気を使うから先に行って、という奥さんなのかもね。私は待って欲しいな」
「誰かさんは置いてくと泣きそうだな」
「おいてかれたら大泣きして、お菓子売り場で暴れる幼稚園児と同じようにジタバタしてやる」
「そんな幼稚園児は可愛くなーい。やめてくれー」と言って笑った。

若い頃は「置いていかれたら泣く」なんて言えなかったな。否、子供の頃でさえ言えなかったと思う。昔の私はいい子ちゃんだったんだな。

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