禁煙した理由と方法

 私の周りは喫煙家が多かった気がする。母も祖母も夫も私も吸ってた。夫と私は過去形。

祖母、母、私と三人並んで吸うのは、大人の仲間入りしたみたいでこそばゆかった。

夫と吸うのは好きだった。思いついて夜中に海を見に行って、2人で風を遮って肩を寄せ合って煙草に火をつけるのはドキドキした。

本に出てくる「嗅煙草」をやってみたくて、探して買った事があった。嗅ぐだけなのに本当に煙草でびっくりした。ただ、鼻の中が大変になりそうだったのと買いに行くのが面倒で1回で終わった。フリーになって取引先の喫煙所で仕事の話になり、新しい仕事を貰ったりもした。

ところが、煙草を吸える場所が減っていった。電車のホームにあった灰皿が駅の入り口に移動になり、そのうち駅の入り口からも消えた。煙草を吸うなら喫煙できる店を探さなきゃいけなくなった。家を買ったら掃除が大変になるからお互い家では吸わないようにしようという話になって、寒くても外に出なきゃいけなくなった。どんどん煙草を吸う環境が変わった。

「そこまでして吸いたい?」
「いや、もうええわ。」

脳内で自分と会話して辞めようと思った矢先、夫がやめると言い出した。多分、同じことを思っていたのだろう。彼はやめると言った日に煙草を捨て、それ以来見向きもしなかった。純粋にすごいなと思う。

私は夫のようにはいかなかった。意志が弱いんだろうなー。最初の禁煙は失敗した。原因は口淋しかったこと。ニコチンはすんなり手放せたのに、赤ちゃんのおしゃぶりのように口にくわえるものが必要だったみたいだ。

それで飴ちゃんを買った。太ろうが歯が悪くなろうが構わない。やめることが優先だと思った。そのうち煙草の記憶が飴ちゃんに変わり、その飴ちゃんにも飽きた。飴ちゃんは太るほど大量に食べられなかった。

辞めた後に言われた。
「辞めたら夢に出てきて、また吸いたくなるよー」
「もともと吸わない人より、辞めた人の方が喫煙してる人に厳しいんだって」
「やめてよかったね。人に迷惑かけるのは嫌でしょ」

どれもピンとこなかったな。辞めた後思ったのは、楽しい時間もあったけどお金を燃やしてたようなもんだな。勿体なーい、だった。

結局は、煙草が面倒くさくなったのよね。

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