ビートルズの名を聞くたびに
昨日だったかな、イマジンという映画をやってた。ただ流れていただけで観てたわけではないけど。
もう一緒に歌う事はないだろうな
それで思い出した。昔、「洋楽を聴くんだって?」と話しかけてきた同級生がいた。転校したばかりで親切な感じで話しかけられた。
「やっぱ、ビートルズはいいよねー。聴く人がいてよかった」
…
ビートルズが嫌いなわけじゃないし、それなりに聴いたことはあった。ただ、私がその頃好きで聴いていたのはビートルズじゃなかった。
そこで好きな音楽はビートルズだけじゃないんだと言えばよかったのだけど、彼の頭の中で洋楽=ビートルズになっていて、あまりに楽しそうに話すので言うタイミングを失ってしまった。
そのうちクラスメートとも仲良くなって、友達といる事も多くなったせいか話す事はなかった。
ずいぶん後になって葉書を貰った事がある。
その葉書には「繊細な感覚をもつ君の事だから、今でも本や音楽を楽しみ素敵な日々を過ごしているのでしょうね」と書かれていた。目ん玉点。
しつこい人ではなかったし、常識がない人でもなかった。否、むしろきちんとした人だったと思う。ただ、若いせいなのか女性に過剰な夢を持っていた気がする。
音楽は好きだが、下品な歌も聴く。
本は好きだが、娯楽本ばかり。
彼の夢を壊すようだけど、繊細な感覚など持ち合わせているとは思えない。あそこで実は他にも好きな音楽があるんだよーと言えば、いい友人になったのかもしれない。逆に言わなかった方が彼の想像を壊さないですんだのかもしれない。
今はどうしてるんだろう。きっと孫を抱いたいいおじいさんになっているだろうな。