祖母の暮らしと餅つき

 この時期になると思い出す。

子供の頃は、祖母んちの庭でお餅をついた。祖母が餅米を蒸し、母が杵をつき祖母が合いの手を入れる。私と叔母はつきあがったお餅を取り分ける。

最初は鏡餅各家庭分、次が角餅、角餅の次は丸餅、妹たちは丸餅に餡子を挟んで食べてた。食べてるのか手伝ってるのかわからない状態だけど、それもまたいつもの風景。鏡餅はお供え用、角餅は料理用、丸餅はおやつ用だった気がする。

一度私が杵をついたら餅が杵についてきて、不器用な奴めー、こうやって外すんだよと母が見本を見せた。なるほど。私、すぐに母より上手くなりそうと負けじに応戦して、我が家の女達は、手より口の方が上手くなりそうやねと祖母に呆れられたりした。

私が大人になった頃には、祖母は餅つき機で餅を作ってた。便利なんだよと言っていたけど、臼を出すのも蒸しあがったせいろを運ぶのも人手がいる。それだけの人出が集まらなくなったのと体力がなくなったんだろう。その頃には家を売って庭がない家に引っ越してた。暮らしを小さくしていた祖母、なんとなくその気持ちが解る年になってきた。

祖母は楽になったと思ったんだろうか。それともやりたい事が出来なくなったと思ったんだろうか。

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