楽しいけど、家に帰りたい

私が手術を受けた病院では、集中治療室に入ったら
リハビリの方が付く事になっていたらしく、私もお世話になった。

集中治療室に入った経緯はこちら。

十二指腸粘膜下腫瘍、手術

入院した部屋は薄暗く少し寒かった。寒かったのは貧血のせいもあったのかもしれないけど、気の滅入りそうな部屋だったのは確かだった。本を読もうにも暗い、音楽も気が晴れない。仕方なく、テレビを見つめて過ごしていた。テレビの内容など頭に入らなく、国会中継を見ながら、高市さん、痩せたんだろうな。服が緩く見えるとか、そんな事を考えていた。

そんな入院生活も、1か月近くもいると顔見知りが出来、挨拶が交わされるようになった。リハビリの方ともいろんな話をした。リハビリといっても、院内をひたすら歩くというものなのだけど、体を動かす方が回復は早くなるらしいので、歩くだけでもいいらしい。

1人で歩いていると、前を小さなおばあちゃんが歩いていた。私もおばあちゃんだが、私よりもう少し年上の方だった。最初は私が追い抜きざまに「あなた、はやいわねー」とその方がおっしゃった一言だった。思わず「おいくつでいらっしゃいますか?」と聞いたら85歳だという。歩くのが嫌だという人もいる中で、彼女は背筋をピンと伸ばして、自主的に歩いていた。

思わず「背筋もしゃんとして自分の為に歩いてる姿勢、尊敬します」と言ってしまっていた。私にはなれないかもしれないけれど、本当にしっかりしたその方に憧れのような尊敬の念を抱いていた。

他にも、人懐っこい笑顔で挨拶してくださる方や、同室の方にとてもよくして頂いて、まるで女子会のようにもなっていた。みんな気のいい大阪のおばちゃんだったりする。

退院の日、リハビリの方が言った。「楽しかった。でも家に帰りたい」そう言われるのが一番嬉しいんです。一番いい状態ですから。家に帰りたくないというがいたり、いろいろあるらしい。

当初、あの暗くて寒い部屋で、退院までの辛抱だからと自分に言い聞かせていたのに、気が付けば楽しかったと思う状態になっていた。お医者さんも看護師さんもその他のスタッフの方も、名残惜しくさえなっていた。同室の方にはもうちょっと残っちゃえとか言って貰って、引き留めて貰っちゃったと軽口を叩くほどに、本当に楽しかった。

それでもやはり家がいい。退院したその日は信じられないぐらいに爆睡した。気を張っていたのか、ベッドが合わなかったのか、やっぱり家はいいな。